木製カトラリーケースの選び方|杉・チーク・竹の違い/水洗いできるかどうか
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料理はちゃんと作ったのに、食卓の上がなんだか寂しい。そんなふうに感じて調べているうちに、「カトラリーケース」という言葉にたどりついた方も多いと思います。
木のカトラリーケースはたくさんあって、どれを選べばいいのか迷いますよね。決め手になるのは主に2つです。どの木でできているかと、水洗いできるかどうか。木は種類によって水への強さがまったく異なり、好みも分かれるからです。
この記事では、チーク・アカシア・竹・杉の違いを見ながら、食卓に置く道具としての選び方をご紹介します。
【早見表】木の種類で、何が変わる?
木の硬さや重さは「気乾比重(きかんひじゅう)」という数字で比べられます。簡単に言うと、数字が大きいほど硬くて丈夫、小さいほどやわらかくて軽いということです。
| 木の種類 | 気乾比重 | 水との相性 | 色・印象 |
|---|---|---|---|
| アカシア | 0.78 | 比較的強い | 濃淡のある木目。あたたかみのある色 |
| ナラ(オーク) | 0.67 | ふつう | 木目がはっきり。北欧家具の定番 |
| チーク | 0.57〜0.69 | 強い(もともと油分を多く含むとされます) | 落ち着いた茶色。キッチン用品の定番 |
| 竹(バンブー) | データなし | 比較的強い | 軽くて丈夫。すっきりした表情 |
| 杉(スギ) | 0.38 | 弱い | 白木の明るさ。木の香りがある |
※気乾比重の数値は木材博物館・アトリエ木馬の公開データによります。同じ種類の木でも産地や部位によって幅があります。竹は正確にはイネ科なので、木材の比重リストには載っておらず、数字を記載していません。
表を見ていただくと分かる通り、杉はこの中でいちばんやわらかくて、いちばん水に弱い木です。
私たちは、その杉でカトラリーケースをつくっている工房です。それでも先にこの話をしておきたかったので、いちばん最初に書きました。

その前に。食卓に出す? 引き出しにしまう?
カトラリーケースには、大きく2つの使い方があります。
ひとつは、引き出しの中で仕切りとして使うもの。もうひとつは、食卓やカウンターの上に出したまま使うものです。
引き出し用なら、いちばん大事なのはサイズが合うかどうか。見た目より寸法が優先です。でも食卓に出しておくものは、料理と一緒にずっと目に入ります。「食卓の雰囲気を変えたいな」と考えている方は、おそらく後者をお探しかと思います。そのような方向けに、この記事は、食卓に出して使うタイプを前提にお話ししていきます。
カトラリーケースを選ぶとき、見ておきたい3つのこと
カトラリーケースを選ぶときのポイントは主に3つです。
1. 出しっぱなしにする? しまう?
食事のたびに出し入れするなら、軽さが効いてきます。ずっと食卓に置いておくなら、ポイントになるのは蓋があるかどうかです。
蓋つきは、使っていないあいだのホコリを防げます。その代わり、食事のたびに開け閉めが必要です。蓋がなくて立てて使うタイプは、片手でさっと取れるのが心地よい一方、中身がそのまま見えます。
「家族が自分で取って並べてくれたらいいな」と思っているなら、立てるタイプのほうが動作が少なくてラクかもしれません。
2. 水とどう付き合うか
ここが、木のカトラリーケースを選ぶときの最大の分かれ道です。
詳しくは次の章でお話ししますが、木のカトラリーケースには、水洗いできるものとできないものがあります。必ずしも「木製だから洗える」とは限りません。濡れた手でさわったり、洗ったばかりのカトラリーをそのまま入れることもある場合にも、買う前に確認しておきましょう。
3. 食卓での見え方
食卓に出すものは、お皿やテーブルと同じ視界に入ります。濃い色の木は落ち着いて引き締まって見え、白っぽい木は明るく軽やかに見えます。
テーブルが濃い色なら、白木(*1)を置くとそこだけぱっと明るくなります。反対に、お皿やクロスにすでに色や柄が多いなら、木目がおとなしいものを選ぶとすっきりまとまります。(*1: 白木=塗装や着色をせず、木材そのままの質感や色合いを活かした天然木)
サイズも見た目に直結します。お箸を入れたいなら、長さが入るかどうかの確認を。一般的な23cm前後のお箸なら、内寸が240mmくらいあれば収まります。

木のカトラリーケースは、水洗いできる?
木製を考えている方が、いちばん気になるのがここだと思います。木製のカトラリーケースには、水洗いが難しいものも複数あります。
水洗いの可否は、以下のような仕様の違いによって決まります。
1. 表面に膜があるかどうか
ウレタン塗装などで表面に膜をつくってある木製品は、水が木に染み込みにくくなっています。お店に並んでいる木製品でいちばん多い仕上げです。
ただ、膜があっても木は木です。長く水に浸けておけば、継ぎ目や膜の切れ目から水が入っていきます。
ちなみに「オイル仕上げ」は塗装と呼ばれますが、膜をつくるのではなく木の内側にしみこませる仕上げです。なので水への強さでいうと、無塗装に近いほうの仲間です。このあたりは木製ティッシュケースの選び方でもう少しくわしくお話ししています。
2. 木そのものの性質
早見表の通り、チークはもともと油分を多く含むとされていて、水に強い木としてキッチン用品によく使われます。
反対に、杉のようにやわらかくて油分の少ない木は、水を吸いやすい木です。同じ無塗装でも、木の種類によって水との相性は変わります。
3. どうやって組み立てられているか
これがいちばん見落とされやすいところです。
組み立て方法は主に二種類あります。ひとつは、糊を使わず、木どうしがしっかりはめ込まれるように最初から設計するもの。もう一つは、糊を使用し、板を組んで貼り合わせるものです。前者は、水洗い可能なものも多いです。一方、接着に水溶性の糊を使っているものは、水洗いはできません。木や仕上げがどれだけ水に強くても、糊のほうが水に溶けてしまうからです。
当社でつくっている杉のカトラリーケースとカトラリースタンドも、折箱の伝統的な製法で製作しているため、糊を使用しています。水溶性の糊を使っているので、水洗いはできません。無塗装だから洗えない、というより、つくり方の都合なんです。
洗えないと、お手入れが大変?
「洗えない」と聞くと身構えてしまいますよね。でも実際は、お手入れの手間は「洗える」カトラリーケースとほぼ同じです。
- ふだんは乾いた布でさっと拭くだけ。これが基本です
- 汚れが気になったら、固く絞った布で拭いて、そのあと乾いた布で水気を取る。水気の多い布で拭くと、表面がけばだったり白っぽくなったり、反りの原因になります。
- 洗ったカトラリーは、水気を拭いてから入れる。濡れたまま入れると、木が水を吸ったままになってしまいます。
- 風通しのいい場所に置く。湿気がこもるところや、直射日光が長時間あたるところは避けてください。
じつは木のお皿やカトラリーも、洗ったら水気を拭いて乾かすこと、長く水に浸けっぱなしにしないことが基本とされています。洗えるものと洗えないもので、日々の手間はそんなに変わりません。
杉について、正直にお話しさせてください
私たちは茨城県で杉の折箱をつくっている工房なので、杉のことなら少しお話しできます。ただ、いいところより先に、お伝えしておきたいことがあります。
杉は、傷やシミに弱い木です。
気乾比重は0.38。チーク(0.57〜0.69)やアカシア(0.78)の半分くらいです。爪を立てれば跡がつきます。油分が少ないので水も吸いやすく、水滴が長くついたままだとシミになります。そのシミは、なかなか消えません。これは杉という木の性質なので、どれだけ丁寧につくっても変わらないところです。
そのうえで、やわらかさは、そのまま別のメリットと裏表になっています。
杉は軽くて、片手で気軽に扱えます。無塗装なら、木そのものの香りがします。そして白木の明るさが、時間をかけて少しずつ落ち着いた色に変わっていきます。硬くてぎゅっと詰まった木よりも、木そのものの変化を楽しむことができます。
杉は、もともと食卓のそばにいた木です
杉は、江戸時代、樽や桶、お弁当箱や折箱といった毎日の道具に使われていた木です。食べ物を入れる器として、暮らしのすぐそばにありました。
杉のカトラリーケースは、その流れの先にあります。だから「特別な日のための道具」というより、毎日出しっぱなしにしておく道具として考えていただけると、私たちとしても嬉しく思います。
折箱の技術でつくっています
工房でつくっている杉のカトラリーケースは、蓋つきの横長のかたちです。無垢の国産杉を、塗装せずに仕上げています。
使っているのは、茨城県の伝統工芸品に指定されている杉折箱の技術です。どうして指定されているのかは茨城県伝統工芸品とはでご紹介しています。
結局、どれを選べばいい?
- 濡れた手でさわる/洗って使いたい → チークなど水に強い木で、膜のある仕上げのもの
- 引き出しの中で仕切りに使いたい → 見た目よりサイズ優先。竹やプラスチックも候補に
- 食卓に出しっぱなしにしたい/ほこりが気になる → 蓋つきタイプ
- 家族が自分で取れるようにしたい → 蓋なしの、立てるタイプ
- 濃い色のテーブルに明るさを足したい → 杉や檜などの白木
- 木そのものにさわりたい/香りを感じたい → 無塗装か、膜をつくらないオイル仕上げ
- 気を遣わずガシガシ使いたい → 膜のあるウレタン塗装か、硬い木
木のカトラリーケース、よくある質問
無印良品やニトリのものとの違いは?
量販店のものは、手に取りやすい価格と、どんな食卓にも合わせやすいデザインが魅力です。工房のものは、無垢の国産杉を塗装せずに仕上げているので、使ううちに色や香りが変わっていきます。伝統工芸の技術でひとつずつ手づくりしている点も違います。
「きちんと整った日用品」がほしいのか、「変わっていく道具」がほしいのか。そこで選ぶ先が変わってくると思います。
カトラリーは何本くらい入りますか?
入る本数は、お使いのカトラリーの太さや形によって変わります。工房の杉のカトラリーケースは内寸が幅60×奥行242×高さ42mmなので、長さでいえば一般的な23cm前後のお箸も収まります。
杉の香りが食器に移りませんか?
無塗装の杉には、木そのものの香りがあります。香りの感じ方は人それぞれなので、気になる度合いも変わってきます。香りは時間とともに少しずつ穏やかになっていきます。気になる場合は、しばらく風通しのいい場所に置いてからお使いください。
水洗いできないなら、汚れたときはどうすれば?
固く絞った布で拭いて、そのあと乾いた布で水気を取ってください。残った水気は、時間が経てば元に戻ります。もしシミが残ってしまったときは、無塗装であれば目の細かい紙やすりで軽く整えることもできます。ただし削ったところは色が新しくなるので、まわりとの差が出ることにご注意ください。
*折重では、シミの箇所の削り作業や壊れてしまった場合の修理も承っております。お気軽にご連絡ください。
白木の色は変わりますか?
変わります。無塗装の杉は、光や空気にふれることで、白木の明るさから少しずつ落ち着いた色になっていきます。
ただし、直射日光が長時間あたるところだと、変化が部分的にかたよって、面によって色が揃わなくなることがあります。
杉のカトラリーケースのこと
orisige の杉のカトラリーケースは、無垢の国産杉を塗装せずに仕上げた、蓋つきの横長のケースです。洋食にも和食にも馴染むかたちで、使っていないあいだは蓋がほこりを防ぎます。
水洗いはできませんし、やわらかい木なので気を配っていただく場面もあります。そのかわり、白木の明るさと杉の香りが、使っていく年月のなかで少しずつ変わっていきます。
毎日の食卓に、変わっていく道具をひとつ。
杉のカトラリーケース/無垢の国産杉・無塗装・蓋つき
- 白木の明るさが、使ううちに落ち着いた色に変わっていきます
- 蓋つきで、使っていないあいだのほこりを防ぎます
- 茨城県伝統工芸品に指定された折箱の技術で、ひとつずつ手づくりしています

寸法・納期・価格は商品ページでご確認いただけます。
「しまうより、片手でさっと取れるほうがいいな」という場合は、立てて使う杉のカトラリースタンドもあります。同じ無垢の国産杉・無塗装でつくっているものに、杉のティッシュボックスや杉の小箱もあります。
まとめ
- 木のカトラリーケース選びは、どの木でできているかと、水洗いできるかどうかの2つでほぼ決まる
- まず「食卓に出す? 引き出しにしまう?」を決めると絞りやすい。出すなら、次は蓋の有無
- 水への強さは木によって違う。チーク(気乾比重0.57〜0.69)は油分が多くて水に強く、杉(0.38)はやわらかくて水を吸いやすい
- 「木製だから洗える」とはかぎらない。仕上げと木の性質にくわえて、組み立てに水溶性の糊を使っていれば洗えない
- 洗えない道具のお手入れは、乾いた布で拭く・汚れたら固く絞った布で拭いて水気を取る・濡れたカトラリーは拭いてから入れる、の3つだけ
- 杉は性能で選ぶ木ではない。軽さ、香り、色が変わっていくこと。それを取るかどうかで決まる
参考: 木材博物館「木材の比重リスト」/アトリエ木馬「気乾比重とは?木材選びのポイントも解説」/「木製の食器やカトラリー及び調理道具のお手入れ方法」
著者: orisige
茨城県稲敷郡河内町。国産杉の折箱を半世紀以上制作。茨城県伝統工芸品指定第67号。
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※価格・仕様は記事公開時点の情報です。最新情報は商品ページをご確認ください。※気乾比重の数値は上記出典によるもので、同じ種類の木でも産地・部位によって差があります。※香りの感じ方には個人差があります。