木製ティッシュケースの選び方|杉・オーク・ウォルナットの違いと、家具に合わせる樹種の決め方
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木製のティッシュケースにしようと決めたあと、本当に迷うのは「どの木を選ぶか」ではないでしょうか。木製ティッシュケースは樹種(木の種類)と仕上げの2つで印象が大きく変わります。決め手になるのは、いまお使いの家具の色と、木の表面に膜をつくるかどうかの2点です。この記事では、杉・ヒノキ・桐・オーク・ウォルナットの違いを数値で比べながら、選び方をご説明します。
【早見表】樹種で何が変わるか
木材の硬さや重さは「気乾比重」という数値でおおよそ比べられます。自然乾燥させた木材の重さを、同じ体積の水と比べた比率で、数値が高いほど硬く強度があり、低いほど軟らかく軽いとされています。
| 樹種 | 気乾比重 | 色の傾向 | 傷・へこみ | 印象 |
|---|---|---|---|---|
| 桐(キリ) | 約0.29 | 白〜淡い灰 | つきやすい | 非常に軽い。和の設えに合う |
| 杉(スギ) | 0.38 | 白木〜淡い赤み | つきやすい | 軽く明るい。香りがある |
| 檜(ヒノキ) | 0.41 | 淡い黄白 | ややつきやすい | 上品な光沢。香りがある |
| ウォルナット | 約0.63 | 濃い茶 | つきにくい | 落ち着いた重厚感 |
| ナラ(オーク) | 0.67 | 淡い褐色 | つきにくい | 木目がはっきり。北欧家具の定番 |
※気乾比重の数値は木材博物館・アトリエ木馬の公開データによります。同じ樹種でも産地・部位により幅があります。
なお、プラスチック製との比較でお悩みの段階であれば、判断はもう少しシンプルです。プラスチック製は軽く、価格も手に取りやすく、濡れた手で扱っても気を遣いません。一方で、床材や家具に木をお使いの場合、リビングの中でそこだけ質感が浮いて見えることがあります。

樹種を決める3つの基準
樹種は「どれが良いか」ではなく「いまの部屋に何を足したいか」から逆算すると決めやすくなります。基準は3つです。
基準1: いまある家具の色に、合わせるか外すか
ウォルナットのテーブルやチーク材の家具など、濃い色でまとめた部屋に同系色のティッシュケースを置くと、存在感が消えて空間が静かにまとまります。逆に、白木のティッシュケースを1つ置くと、そこだけ明るく抜けて見えます。どちらが正解ということはなく、「馴染ませたい」のか「小さな明るさを足したい」のかで選び方が変わります。
迷ったときは、床材の色を基準にするとまとまりやすくなります。床がオーク系ならオーク、無垢の明るい床なら杉や檜、といった具合です。
基準2: 傷を「困る」と感じるか、「変化」と感じるか
早見表の通り、杉や桐といった軟らかい木は、硬いものが当たると跡が残ります。ナラやウォルナットは、その点で明らかに強い木です。
ここは好みが分かれるところです。跡が残ることを「傷んだ」と感じる方には、硬い樹種か、後述する膜のある仕上げが向いています。一方で、跡も道具の履歴と捉える方には、軟らかい木でも困りません。ご家族の使い方や、小さなお子さまがいらっしゃるかどうかでも変わってきます。
基準3: 木目の主張の強さ
ナラは虎斑(とらふ)と呼ばれる模様が出るなど、木目そのものが主役になります。杉は、まっすぐで穏やかな縦の木目が特徴です。すでに柄物のラグやアートを置いている部屋なら、木目のおとなしい樹種のほうが落ち着きます。
杉という選択肢について、正直にお伝えしたいこと
私たちは茨城県で杉の折箱をつくっている工房ですので、杉について書けることがあります。まず、良いことより先にお伝えしておきたいことがあります。
杉は、軟らかい木です。気乾比重は0.38で、ナラ(0.67)のおよそ6割にあたります。爪を立てれば跡がつきますし、硬いものを落とせばへこむこともあります。ウォルナットやオークのお家具を選んでこられた方の目には、頼りなく映ることもあるかもしれません。これは杉という素材の性質で、加工の丁寧さで消せるものではありません。
そのうえで、軟らかいことは、そのまま別の性質と表裏になっています。杉は軽く、片手で簡単に持ち上げられます。無塗装であれば、木そのものの香りが立ちます。そして白木の明るさが、時間をかけて少しずつ落ち着いた色へ変わっていきます。硬く緻密な木では、この速度の変化は起きません。
杉は、もともと庶民の暮らしの木でした
杉は、江戸時代、城下町や農村で、樽・桶・家具といった日用品に使われてきた木です。伐ったら植えるという林業の循環が確立されていたこともあり、暮らしのすぐそばにある、当たり前の素材でした。
硬く高価な木を選ぶという方向とは別に、軽く扱いやすい木を毎日の道具として使い続けるという選び方が、もともとこの国にはありました。杉のティッシュケースは、その系譜にある選択肢です。
折箱の技術を、取り出し口に使っています
工房でつくっている杉のティッシュボックスは、ティッシュの取り出し口に、折箱の伝統技術である「足」を応用しています。側面には杉の木目がまっすぐ流れます。茨城県伝統工芸品に指定された技術で、ひとつずつ手づくりしています。指定の背景については茨城県伝統工芸品とはでご紹介しています。

木に膜をつくるか、つくらないか
樹種を決めたら、次は仕上げです。ポイントは、木の表面に膜をつくるかどうかです。
膜をつくる仕上げ(ウレタン塗装・ラッカーなど)
ポリウレタン樹脂などで木の表面に透明な膜をつくり、水分・汚れ・傷から木を守ります。市販の木製品でいちばん多い仕上げです。お手入れは拭くだけで済み、買ったときの状態が長く保たれます。木目は膜越しに見え、手が触れているのは膜の表面になります。膜そのものに傷が入った場合、ご自身で手を入れるのは難しく、多くは専門業者による再塗装が必要になります。
膜をつくらない仕上げ(オイル・ワックス)
植物性のオイルなどを木の内部へ浸透させて保護します。表面に膜がないため、木の手触りがそのまま残ります。そのかわり1〜2年ごとの塗り直しが必要とされており、表面を研いでご自身で手を入れられるのも、この仕上げの特徴です。
何もしない(無塗装)
木をそのまま使います。香りと手触りのあいだに、何も挟まりません。ちなみに、折重はこの「何もしない」加工法を採用しています。
なぜ、膜のある仕上げが主流なのか
いま店頭に並ぶ木製品の多くが塗装されているのは、その通りです。ただしそれは、膜があるほうが木にとって良いから、という理由だけではありません。つくって、運んで、店頭に並べて、お客さまの手に渡るまで、買ったときの状態をそのまま保つ。量産と流通を前提とすれば、膜のある仕上げは非常に合理的な答えです。
裏を返せば、木の道具はもともと塗られていませんでした。江戸の暮らしで使われた樽や桶、杉の日用品に膜はありません。無塗装は目新しい提案ではなく、木の道具のもとの姿です。
工房が無塗装を選んでいる理由
杉は軟らかい木のため、無塗装での仕上げは非常に繊細な作業が必要になります。それでも私たちは、無塗装での加工にこだわって製作しています。
杉の香りは、膜の下からは出てきません。手のひらが木に触れる感触も同じです。「ティッシュケースを木にしたい」と思われたとき、そのいちばん素朴な部分、つまり木に触れたいという気持ちに、まっすぐ応えられるのが無塗装だからです。
もちろん、引き換えにするものはあります。水分や油分が長く付いたままだとシミが残ることもありますし、ハンドクリームを塗った直後に持てば、跡がつくこともあります。無塗装を選ぶ以上、ここは避けられません。
そして膜のある仕上げも、別のものを引き換えにしています。木そのものの手触りと、香りです。どちらが優れているという話ではなく、手元に何を置きたいかで決まることだと考えています。
結局、どれを選べばいい?
- 濃い色の家具でまとめている → ウォルナット・ナラなど濃色系で馴染ませる。または白木を1つ置いて明るさを足す
- 床や家具が明るい木、北欧・ナチュラル寄り → 杉・檜など淡い色の樹種
- 小さなお子さまやペットがいる/傷が気になる → ナラ・ウォルナットなど硬い樹種、かつ膜のある仕上げ
- 木そのものに触れたい/香りを感じたい → 無塗装、または膜をつくらないオイル仕上げ
- 気を遣わず道具として使いたい → 膜のあるウレタン塗装
- とにかく軽く、和の設えに合わせたい → 桐
木製ティッシュケースのよくある質問
無印良品やニトリの木製ティッシュケースとの違いは?
量販店の製品は、手に取りやすい価格と、どんな部屋にも合わせやすい汎用性の高いデザインが魅力です。工房の製品は、無垢の国産杉を無塗装で仕上げ、使ううちに色や香りが変わっていく点、また伝統工芸の技術でひとつずつ手づくりしている点に違いがあります。求めるものが「整った日用品」か「変化していく道具」かで、選ぶ先が変わってきます。
市販のティッシュ箱はどれでも入りますか?
エリエールやクリネックスなど、一部幅が236mmを超える箱は収まりきらない場合がございます。お手元のティッシュ箱のサイズをご確認のうえお買い求めください。箱ティッシュの寸法はメーカーによって差がありますので、購入前に必ず商品ページの寸法をご確認ください。
軟らかい木に傷やへこみがついたら?
無塗装の木であれば、浅い跡は目の細かいサンドペーパーで軽く整えることができます。ただし削れば表面の色が新しくなりますので、周囲との色の差が出ます。跡も含めて使い続けるという考え方もあります。
白木は日に焼けて色が変わりますか?
変わります。無塗装の杉は、光や空気に触れることで白木の明るさから少しずつ落ち着いた色合いへ移っていきます。ただし直射日光が長時間あたる場所では、変化が部分的に偏り、面によって色が揃わなくなることがあります。窓際に置く場合はご留意ください。
杉のティッシュボックスについて
orisige の杉のティッシュボックスは、無垢の国産杉を無塗装で仕上げた、シンプルな形のティッシュケースです。白木の明るさと杉の香りが、使う年月のなかで少しずつ変わっていきます。

リビングでいちばん目に入る道具を、育つ素材に。
杉のティッシュボックス/無垢の国産杉・無塗装
- 白木の明るさが、使ううちに落ち着いた色へ変わっていきます
- 取り出し口に折箱の伝統技術「足」を応用しています
- 茨城県伝統工芸品指定の技術で、ひとつずつ手づくりしています
寸法・納期・価格は商品ページでご確認いただけます。
同じ無垢の国産杉・無塗装でつくっているものに、杉のカトラリーケースや杉の小箱があります。ご自分の生活に合わせて、そちらもご覧ください。
まとめ
- 木製ティッシュケースは、樹種と仕上げの2つで印象と扱いやすさが決まる
- 樹種選びの基準は「家具の色に合わせるか外すか」「傷を困ると感じるか変化と感じるか」「木目の主張の強さ」の3つ
- 杉(気乾比重0.38)は軟らかく跡がつきやすい木。そのぶん軽く、香りがあり、色が変わっていく
- ナラ・ウォルナット(0.63〜0.67)は傷に強く、濃色の家具に馴染みやすい
- 仕上げの分かれ目は塗装の有無ではなく、木の表面に膜をつくるかどうか。オイル仕上げは膜をつくらない側にあたる
- 膜があれば扱いやすく買った状態が保たれる。膜がなければ木の手触りと香りがそのまま残る。どちらも何かを引き換えにしている
参考: 木材博物館「木材の比重リスト」/アトリエ木馬「気乾比重とは?木材選びのポイントも解説」/家具蔵「オイル塗装とウレタン塗装の違いを知る」
著者: orisige
茨城県稲敷郡河内町。国産杉の折箱を半世紀以上制作。茨城県伝統工芸品指定第67号。
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※価格・仕様は記事公開時点の情報です。最新情報は商品ページをご確認ください。※気乾比重の数値は上記出典によるもので、同一樹種でも産地・部位により差があります。