杉の経年変化|杉は何色に変わる?理由・変化例を写真つきで紹介

使い込んだ杉の箱の内側。板全体が茶色みを帯び、右下に赤みの強い部分が残っている

杉の経年変化で特徴的なのは、色の変わり方です。杉は使ううちに、白木の明るい色から、少しずつ黄みを帯びた落ち着いた色へ変わっていきます。日の当たる場所では、変化は使い始めの時期に大きく、そのあとはゆっくり進みます。この記事では、杉の色が変わる理由と変わる早さ、色ムラを防ぐ置き場所を、折重で使っている杉の道具の写真とあわせてご紹介します。

杉の経年変化【早見表】

変わるもの どう変わるか
色(白い部分・白太) 光に当たると、黄みを帯びた色へ変わる
色(赤い部分・赤身) 赤みが落ち着いて茶色に寄る
変わる早さ 日の当たる場所では、使い始めに大きく変わり、そのあとはゆっくり進む
色ムラ 光の当たり方がちがう面は、色の変わり方もちがう

出典: 色と早さは、北海道立総合研究機構 林産試験場の試験報告(記事末の参考欄)。赤身については折重の道具での観察です。

杉の色が変わる理由は「光」

木の色を変えるおもな原因は、光です。北海道の林産試験場の報告は「木材は光にあたると、程度の差はあれ皆変色する」と書いています。色が濃くなる木もあれば、薄くなる木もあります。

光で色が変わるしくみには、木の成分であるリグニンがかかわっていることが報告されています。

光の種類によっても変わり方が異なります。日本木材学会誌に載った研究では、明るい色の木材に紫外線を当てると色が濃くなり、目に見える光(可視光)を当てると明るく淡くなる傾向が見られました。日光にはその両方が含まれているため、濃くなるか薄くなるかの表れ方は、木の種類によって変わります。杉の白い部分については、次の試験で、日光によって黄みが増すことが確かめられています。

どのくらいの早さで色が変わる?

北海道の林産試験場は、室内に差し込む日光を想定して、窓ガラスを通した太陽光を杉(道南スギの白い部分)に当て続ける試験をしています。日光に当て続けて変化を早く確かめる試験で、結果は次のとおりでした。

  • 杉は、当て始めてすぐに大きく色が変わり、10日を過ぎると変化はゆるやかになった
  • 色の変化のなかでは、黄みが増えるのがいちばん大きかった
  • 塗装した杉も、塗装していない杉と同じような傾向だった(この試験の塗料では、種類による明確な差は見られなかった)

窓ぎわのように日が当たる場所なら、色の変化は使い始めのころにいちばん大きく表れる、ということです。

杉の箱の内側の白太。赤い線で囲んだ部分に、黄色い斑点が出ている

折重の道具では、白木の部分が日光に当たると、上の写真の赤丸のように黄色く変化し始めることが多いです。

折重の杉の道具は、無垢の国産杉を塗装せずに仕上げています。色の変化をそのまま楽しめる道具は「杉と暮らす/育つ」にまとめています。

写真で見る、折重の杉の経年変化

作り立てから順に、折重で使っている杉の道具をご紹介します。道具はそれぞれ別のもので、撮影時の光も異なります。

作り立ての杉のボックス。赤身の赤さと、上下の縁の白太がはっきり見える

こちらは作り立てのボックス(自作)。

作り立ての杉の板の近景。赤身が赤さを残している

赤身はまだ色が変わる前。赤さを残しています。

約1年使った杉のラック。持ち手の穴があり、板全体が落ち着いた色になっている

こちらは、約1年使用したラック(自作)です。

約1年使った杉の板の近景。赤身が茶色みを帯びてきている

近くで見ると、赤身が茶色っぽくなってきているのがわかります。

約5年使った杉の本棚。雑誌やファイルが収まっている

およそ5年間使用した、杉の本棚(自作)です。

約5年使った杉の本棚を背面側から見たところ。全体が黄みを帯びている

背面から見たものです。全体的に黄みがかっています。

色ムラなく育てる置き場所と使い方

光の当たり方がそろわないと、色の変わり方もそろいません。きれいに育てるために、次のことに気をつけましょう。

直射日光の当たる窓ぎわは避ける

日の当たる面だけが早く色づき、反対側との差が目立ちやすくなります。窓ぎわに置くなら、カーテン越しにして直射日光を和らげてください。

上に物を置きっぱなしにしない

物で隠れていた部分は光が当たらないため、その形が明るく残ることがあります。

濡れたまま置かない

色の変化とは別に、無塗装の杉は濡れたまま置くとシミが残ります。汚れは乾いた布で拭き、落ちないときは固く絞った布で拭いて、すぐに水気を取ってください。

シミや破損が気になったときは

シミの削り直しや、破損したときの修理をご相談いただけます。内容によって対応が変わりますので、まずはお問い合わせください。

杉の経年変化について、よくある質問

色の変化を止めることはできますか?

光を当てなければ変化はゆるやかになりますが、使う道具で光を避け続けるのは現実的ではありません。林産試験場の試験では、塗装した杉も無塗装と同じような傾向で色が変わりました。折重では、変化を止めるよりも、ムラなく育てることをおすすめしています。

赤身と白太で、変わり方はちがいますか?

折重の道具では、赤身は茶色っぽく、白木は黄みがかる変化が見られます。白木は黄色の斑点が出始めることがあり、変化がわかりやすいです。

杉の特徴について、ほかにも知りたいときは?

軽さ・やわらかさ・水への弱さ、ヒノキとの違いは杉の特徴とは|ヒノキとの違いを中心に解説でまとめています。

色の変化を楽しめる、折重の杉の道具

折重の道具は、無垢の国産杉を塗装せずに仕上げています。毎日手に取り、目に入る場所に置く道具ほど、色の変化を身近に感じられます。

ほかの道具は「杉と暮らす/育つ」でご覧いただけます。

まとめ

  • 杉は、光に当たって黄みを帯びた色へ変わっていく
  • 日の当たる場所では、使い始めに大きく変わる(窓ガラス越しの日光に当て続けた試験では、10日を過ぎると変化がゆるやかになった)
  • 色ムラを防ぐには、直射日光を避け、物を置きっぱなしにしない
  • 濡れたまま置くとシミになるので、汚れは乾いた布で拭く

参考
北海道立総合研究機構 林産試験場「道南スギの光変色とその対策」(光珠内季報 No.175、2015年6月)
北海道立林産試験場 峯村伸哉「セミカルバジドによる木材の光変色抑制」(1977年受理)
山本健ほか「木材の光変色に及ぼす照射波長の影響」(木材学会誌 53巻6号、2007年)